2010-01-01から1年間の記事一覧

大みそか

(1910年頃、おそらくドイツ製のクロモ絵葉書) 私の部屋はごちゃごちゃ物が置いてあるので、ちょうど小腸の内壁のように、表面積がものすごく大きいのです。ですから本気で掃除しようと思うと、大ごとになります。でも1年の締めくくりですから、頑張って掃…

天文骨董と大コレクターの世界

(↑アンドレアス・セラリウスの星図帳より南天星座図。ウィキメディアコモンズより転載。ちなみに、図の左下で望遠鏡を覗いているのは、以前ペーパー・アストロラーベの記事で触れた人物です。http://mononoke.asablo.jp/blog/2010/11/28/5545383 あれの出典…

NHKよ、あなたはいったい…?

呆然自失。 寅吉翁の太陽面通過観測は完全にスルーされた…! ひょっとして、それがNHKの見識だったのかもしれませんが、その見識が番組の隅々にまで行きわたっていると、なお良かったですね。何だかコメントの難しい番組でした。真面目に見てはいけなかった…

100年の時を超え、ハレー彗星は不思議な暗合を地上にもたらした!

(↑1910年にドイツで作られたハレー彗星絵葉書。ただし復刻品) 今、何とも云えない気分です。 実はこの年末年始は少しノンビリしようと思って、記事を書きためておきました。それが「明治日本のアマチュア天文家」という連載で、我ながら力作の長文です。 …

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(9)

結局のところ、ハレー彗星の太陽面通過の一件について、私は全否定に近い立場をとるわけですが、何度もいうように、私は寅吉翁(以下、敬意をこめて翁と呼びます)の生涯は、アマチュア天文史の中に正当に位置づけられるべきだと考えます。しかし、あまりハ…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(8)

彗星の尾を通して「太陽面の一部が青く見えた」という記述についてはどうでしょう?ガス状のものが空を覆えば、届く太陽光は散乱しにくい長波長に偏り、赤味を帯びるんじゃないかとか、いや彗星のガスの成分によっては太陽光によってガスそのものが青みを帯…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(7)

次いで、寅吉の報告内容を検討してみます。ウィキペディアの記述には、文語体で太陽の見え方の変化が書かれていますが、基本的なこととして、その出典が不明です。寅吉自身の記載なのか?それとも満州日日新聞の記事の引用なのか?大事な点ですが、未詳です…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(6)

実は、満州日日新聞は、このハレー彗星の観測を大がかりなイベントとして計画していました。費用は全て会社持ちで、満州にハレー彗星観測隊を送ることをぶち上げ、天文界もこれに呼応し、大連に2人の研究者を送り込み、当日を待ちうけたのです(※)。(※)以…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(5)

問題のウィキペディアの記事にはこうあります(ハレー彗星/1910年 の項)。鈴木氏の文章と内容が重複しますが、念のため転記します。「日本では、1910年(明治43年)、世界中の天文台が当時としては最新の機材を使って観測にあったにも拘らず、結局、確実に…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(4)

『野の天文学者 前原寅吉』の著者、鈴木喜代春氏には、東北電力の広報誌「白い国の詩」(2008年夏号)のために書き下ろした、次の一文もあります(リンク先のページには寅吉の写真や、その使用した望遠鏡など、貴重な画像が載っています)。■前原寅吉が観た…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(3)

さて、以下はためらいを覚えつつも、敢えて書きます。実は、私はこの『野の天文学者 前原寅吉』という本に多少の違和感を覚えるのです。もちろん、この本がなければ私は寅吉の存在を知ることすらなかったでしょうし、辛苦の調査の末に、それまで殆ど知られて…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(2)

『野の天文学者 前原寅吉』には、具体的な年代が書かれていない部分も多いのですが、適宜時代を区切って事項を配列してみます。(以下、〔 〕内の年次は、原文に記述がないものの、前後関係から私が推測したものです。また年齢は数え年で統一しました。)【…

明治日本のアマチュア天文家…前原寅吉翁のこと(1)

さて、そういう純粋のアマチュアの人たちは、どういう素性の人で、どこでどういう活動をしていたのでしょうか。まだまだ調べないと分からないことだらけですが、ここで1人の人物に注目したいと思います。 ★その前に、ここで再び『ビクトリア時代のアマチュア…

明治日本のアマチュア天文家…日本天文学会草創のころ(2)

日本天文学会ができた頃の、会の雰囲気をもう少し見ておきます。「天文月報」第1巻第8号(明治41年11月)には、この年(1908)開かれた第1回定会の広告が出ています。 (出典:http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1908/pdf/190811.pdf よりスナップシ…

明治日本のアマチュア天文家…日本天文学会草創のころ(1)

そもそもこのブログを始めたきっかけでもある、「天文趣味史の考察」。その日本編を書いてみたいのですが、当然そんなに簡単に書けるはずはありません。でも、書かないといつまでたっても書けないので、とりあえずラフデッサンだけしておきます。 ★以前、ア…

北の聖夜を彩る星々

ふと気付いたらクリスマス・イブでした。もちろんクリスマスが来ることは知っていましたが、こんなに早く来るとは予想もしていませんでした。驚きです。大変な雪の地方もあるようですね。ホワイトもホワイト、前が見えないほどのホワイト・クリスマスを迎えら…

こんなお店を探しています

ハーシェル協会の仕事はまだ終りません。むう、年賀状も書かなければ。最近は何事もだらだらやる癖がついて、なかなか仕事がはかどりません。そんな怠惰な日々に句読点を打つために、ちょっと記事を書いてみます。 ★仕事が立て込んでくると、逃避的にあれこ…

翔べ!ウラヌス

最近は紙モノ記事が多いので、少しソリッドなものを載せます。↑は指先でつまめる科学衛星、その名も「ウラヌス」。中心の衛星本体は1.5cm立方ですから、ちょうど角砂糖ぐらいの大きさ。そこにソーラーパネルとダミーアンテナがちょこんと付いています。これ…

ひとり驚異の部屋・海外編

ふたご座流星群は、気まぐれな雲にたたられましたが、1つだけ素晴らしく明るい流星を見ることができたので、良しとしましょう。 ★今日は仕事が休みなので、1日冬ごもりです。空は静かに曇り、遠くでは鳥が鳴いています。こういう折には、お茶なぞ飲みなが…

天上大風(3)

おまけとして、この本の来歴を書き付けておきます。 これはイギリスの王立気象学会の旧蔵本です。たまたま同じ本がダブったために、こちらの方が処分されたようです(司書さんが記したらしい廃棄メモが本に挿入されています)。 さらに本への書き込みを見る…

天上大風(2)

巻雲の動きを観測するといっても、1箇所ではもちろん十分なデータは得られません。そのために国際協力が求められました。科学の分野における国際協力は、まず天文学で始まり、気象学もそれに続いた形です。↑データ提供に協力した測候所と観測責任者のリスト…

天上大風

そよとも風の吹かぬ部屋を見下ろす遥かな空の高み。そこには大いなる大気の流れがあります。地球が生きていることの何よりの証しです。ここに1冊の本があります。これこそ19世紀の後半、「地球の息吹」を明らかにしようとした本です。■H.H.ヒルデブランドソ…

風よ!

4椀受風器付きロビンソン風力計(1960年製)。 ★ かつては、風を受けて勢いよく回っていた頃もあったでしょうに。 今は、風の夢を見ながら、そよとも吹かぬ部屋の中で、静かにまどろむばかりです。

雲よ!

悲しい時、淋しい時、楽しい時、疲れた時、気分が高揚した時。雲は、折に触れて湧いてくる感情を托すのに、ふさわしい相手です。雲も、感情も、どこからともなく湧いて出るものだからでしょうか。心をよぎるのが感情で、空をよぎるのが雲。遥かな高みにある…

鳥よ!

“I wish I were a bird …” 学校ではそう習いました。 でも、すべての鳥が自由に空を飛べるわけではありません。 飛べない鳥は、それが鳥であるゆえに、いっそう淋しげです。↑内田清之介(著) 『日本鳥類図説』 (警醒社、大正2年=1913)。ネット情報(コト…

月がとっても青いから

傷心の人びとを乗せて、地球はクルクル回る。 その周りを、青い月もクルクル回る… ★ 球径10センチ、総高25センチほどの、小さなアンティーク地球儀。 もちろんリプロですが、真鍮の台座や、細部の造りは結構しっかりしています。 地球儀本体は、メルカトルが…

傷心酒場

** 純粋な日記 ** ある店で3人の男が酒をあおっていました。 ふと、若い男が感に堪えぬように言いました。 「ああ、なんでこうも心が痛むんでしょう。」 中年の男がしたり顔で答えました。 「心っていうのは、痛むものなのさ。心の痛むことが、即ち生きるっ…

和紙のはなし

(↑明治19年発行の理科教科書。文部省旧蔵本。理科も和紙で伝えられた時代の証人。) 昨日の続きです。 「和紙と洋紙」について、我々は無条件で和紙の良さを称揚しがちですが、そこで比較されているのは、実は「伝統和紙」と「近代洋紙」であり、「伝統洋紙…

青ざめる古書たち

(OVA版“R.O.D-READ OR DIE”より)神保町のとあるビルの屋上に住む、本の虫、Yomiko(読子) Readman。彼女には臨時教員という表の顔とは別に、紙を自在に操る能力を駆使して事件に挑む、大英図書館特殊工作員という裏の顔があった。コードネームは「ザ・ペ…

リチャード・プロクター著 『恒星アトラス』(2)

この立派な星図の「秘密」。それは、星図がザックリと割れてしまっていることです。そう、無残にもザックリと。以前の本の所有者(少なくとも私以前に2人います)も、裏側から紙を貼ったりして、必死に防戦した形跡がありますが、本の崩壊を食い止めるには至…